大きくて長生きなケヅメリクガメ 2025/05/04

animals think

私はリクガメのシルエットが好きだ。
長い間半水棲ガメを飼育してきたのに、未だ飼育したことがないリクガメのシルエットが好きだなんて言ったら、誰かに薄情だと思われるだろうか。

私は大きなカメが好きだ。
子供の頃、リクガメという自分よりも大きいカメがいることを何かで知ってから、「大きなカメ」にとても憧れを持っていた。
半水棲ガメを飼育しながら、まだ見ぬどこかの「大きなカメ」に、直接手から野菜を与える自分の姿を夢に見ていた。
大人になった今、その憧れの大きなカメは「ガラパゴスゾウガメ」や「アルダブラゾウガメ」だったのだと理解した。
私の中のリクガメのイメージは、正にゾウガメ達に他ならない。
巨大な甲羅、ずっしりとした体躯、空高く持ち上げる長い首。
そして長寿という神秘の生態。
ゾウガメたちの古から続く深い歴史に、今では心の底から尊敬している。

個人的な好みだが、現在のところシルエットやフォルムが一番美しいと感じているのは、
ザンジバル産の「アルダブラゾウガメ」だ。

本題に寄せる。
上京後、東京、もしくは東京近郊の動物園の多さに驚いた。
しかもほとんど電車で行ける場所である。
地元には、動物園、水族館合わせても数えるほどしかなく、また車で何時間もかけないと行けない場所にしかなかったからだ。
期待に胸を膨らませ、東京の様々な動物園や水族館に足を運んでみたところ……。
見つけた……。
憧れの「大きなカメ」。
それは「ケヅメリクガメ」だった。

ゾウガメではないものの、「大きいカメ」の分類には申し分のない大きさだ。
アカアシガメやインドホシガメなどのリクガメはちらちら見かけてはいたが、私がイメージする「大きなカメ」ではなかったので、「かわいい」という感想止まりであったのだが、ケヅメリクガメを見た瞬間の感想は純粋に「凄い!」だった。

特に印象深いのは町田リス園のケヅメリクガメで、私が見てきた中で一番元気よく、いきいきと生活しているように見えたのだ。
町田リス園は他にも珍しいカメが沢山いるので、是非足を運んでほしい。

実は今回改めて調べてみて分かったことだが、地元の動物園にもケヅメリクガメはいたようだった。しかし全くと行っていいほど記憶にない。
恐らく外に出ていなかったのだろう。
更に上京してから立ち寄った動物園に、ガラパゴスゾウガメもアルダブラゾウガメもいたようだったのだが、そのエリアに行っていなかったり、見かけたが遠すぎてそこまで大きいと感じられず、その種だと気づかなかったようだ。

何たる不覚。
今後意識的に、カメの観察を目的にもう一度動物園巡りをしてみよう。

本題。
ケヅメリクガメのことを色々と調べているときに、気になるワードを発見した。
それが「3番目に大きなカメ」というものだった。

(え!? そうなのか!? 世界にはもっと大きなカメがゴロゴロいるのかと思ってたけど、ケヅメリクガメの大きさで3番目なのか!)

自分のイメージとしても、1番目にはガラパゴスゾウガメ、2番目にはアルダブラゾウガメが来るであろうとなんとなく想像は出来ていたのだが、まさか3番目に、身近にいるケヅメリクガメの名前が上がるとは思いもしなかった。

この驚きをきっかけに実際の数字が知りたくなり、様々な角度から詳細を調べて見たのだが……。
いつものことながら、ネットで調べても図鑑で調べても、情報がバラバラすぎて混乱を極める。

まず「一番大きなカメ」で調べたときに「オサガメ」がヒットした。
てっきりガラパゴスゾウガメだと思っていたので、完全に盲点だった。
そうか。ウミガメを入れるとそうなるのか。

その後「一番大きなリクガメ」で調べてみると、「アルダブラゾウガメ」がヒットする。
(え!? ガラパゴスゾウガメじゃないのか!)
リクガメ最大がガラパゴスゾウガメだと思い込んでいたので、これには正直驚いた。
しかし……。

「リクガメ 大きい順」などとワードを変えてネット検索をかけたところ、大多数のサイトで1位ガラパゴスゾウガメ、2位アルダブラゾウガメ、3位ケヅメリクガメと紹介されていた。

んー。これは一体どういうことか。
いつものことながら、疑問解消の為の長いブログの始まりである。

詳細の深堀り。
まずは世界最大のカメであるオサガメのことを簡単に調べてみよう。
大体出てくる数字は甲長で150cm以上。図鑑では180cm。もしくは189cmと表記されている。
体重は300kg以上がよく見る数字で、600kg〜800kgの間で数字が右往左往。
最大記録で体長2.6m、体重916kgという情報も見つけたが、よくよく見るとそこには「体長」の文字が。
カメの大きさは大体甲長で測るのだが、「大きさ〇〇cm」と書いていたら、それが甲長のことを言っているのか体長のことを言っているのか、冷静に見極める必要がありそうだ。

その後、様々な角度から図鑑を読んでいると、”現存する最大のカメは、1988年にイギリスのハーレックビーチで漁網に絡まって死亡していたオサガメで甲長約256.5cm、体重916kg”という記述を発見した。
体重が完全に一致。
恐らく「最大記録で体長2.6m」という数字はここから来ているのだろうと判明し、ようやくモヤモヤが落ち着いた。

特例は置いておいて、ここに書き出した情報だけでまとめると、
甲長は150cm〜189cm。体重は300kg〜800kg ということになるだろう。

次はガラパゴスゾウガメについて見てみよう。
「ガラパゴスゾウガメ」というワードで調べると、だいたい出てくる数字は甲長で150cmだった。
ただ、アカアシガメの時に調べて驚いたことだったが、「ガラパゴスゾウガメ」という名前は「ガラパゴス諸島に住むカメたちの総称」であり、正確には「ガラパゴス種群」というのだそうだ。
ということで、図鑑でガラパゴス種群のカメたちを調べてみたのだが、絶滅種を除くと「ウスカワゾウガメ」の135cmが最大だった。

ではよく見るガラパゴスゾウガメの甲長150cmはどこから来たのか?
ガラパゴスで暮らすどのゾウガメのことを指しているのか?
結局この150cmの甲長を保つガラパゴスゾウガメの正体を暴くことは出来なかった。
気になる体重だが、大体250〜300kgと記されている。
最大記録400kgという情報も見つけたが、こちらの数字もどこから来たのか、具体的にどのゾウガメの記録なのかを突き止めることが出来なかった。

それではアルダブラゾウガメについてはどうだろう。
まずは「アルダブラゾウガメ」や「アルダブラゾウガメ 大きさ」でワード検索してみると、最大甲長が120cmと書いてある記事が大多数であった。
同時に「世界最大級のカメ」「世界で一番大きなカメ」という説明がちらほら見られるが、不思議なことに、こういう説明をしている記事には大きさは100cmと記されていたり、100cm以上という言葉が使われている。
もちろん、「世界で2番目に大きなカメ」の説明のほうが多い印象だが、「ガラパゴスゾウガメについで世界最大」という表現もあり、色々と混乱する要素が多かった。
続けて手持ちの図鑑で確認してみると、アルダブラゾウガメの最大甲長は140cmと記されていた。

ちなみに体重は100〜200kg、オスで最大250kgという情報がほとんどのように感じた。

最後にケヅメリクガメを見てみよう。
本当に数字がまちまちなのだが、調べた印象でいうと最大甲長83cmという紹介が多いと感じた。
図鑑で見てみると60cm〜80cmと記載があり、印象に残っているこの83cmの3cmはどこから来たのだろうかと考えてしまう。
そして100cmを超える個体もいるとの情報も目にしたが、具体的な証拠が得られなかったためなかなかに信じ難くある。
しかしまぁ、いてもおかしくはないかなとも感じている。

体重に関しては、最大100kgとする記事が多いと感じた。

さて、気づいた人はいるだろうか?
世間一般的に知られている大きなリクガメ順で並べた時に「ガラパゴスゾウガメ150cm」「アルダブラゾウガメ120cm」「ケヅメリクガメ83cm」となるのだが、図鑑基準で調べた場合では「アルダブラゾウガメ140cm」「ガラパゴスゾウガメ138cm」「ケヅメリクガメ80cm」と1位と2位の順位が入れ替わるのだ。

順位が2通りあったのはこれが原因だろう。
果たして、一体どちらを信じればよいのだろうか。
疑問は無事解消されたが、結局のところどうなのかと問われれば「実際に見てないので分からない」に答えは留まる。
鍵となるのは、ガラパゴスゾウガメの150cmという情報の出どころだ。
どこかに記録が残っているのか、有名なカメがこの大きさだったのか。
本気の本気で図書館や文献巡りをすれば答えが出るのだろうが、そこまでするとこのブログが書き終わらなそうなので、このあたりで追求をやめておこうと思う。

神秘の寿命。
カメの魅力として「長寿である」ことは大きなポイントである。
今回ぬいぐるみとして制作したケヅメリクガメも例に漏れず長生きで、その一生に大変興味を持ってしまう。
カメたちの長生きの秘訣を調べると、割とすぐに詳しく情報が出てくるので、このブログでは詳細を割愛するが、簡単に上げると「心拍数が少ない」→「代謝が遅い」→「老化が緩やかになる」というものだ。
その他「エネルギー消費が少ないライフスタイル」も関係しているだろう。
カメたちにとって、これは一体どんな感覚なのだろうか。
時間の感覚は、私達とは違うのだろうか。
人間の私には、どんなに思いを馳せても想像ができない。
……ここで私に新たな夢が生まれてしまった。
カメに聴診器を当てて、その心音を聞いてみたい。

知られているカメの寿命。
これまで調べた中で、ざっくりのざっくり寿命を書き出してみると。
半水棲カメは20〜50年。ただし野生下ではもっと短い。
リクガメは30〜70年。ただし野生下ではもっと長い。
もちろん種類によって全然変わってくるものではあるが、半水棲カメは野生下での方が寿命が短くなるのに対し、リクガメでは野生化の方が寿命が長くなる傾向にあるのが面白い。
大きさや天敵が関係しているのだろうか?

上記の数字を見て改めて思う。
例えば「リクガメ70年」で考えてみると、人間の一生とそこまで寿命が変わらないのではないかと気付く。
となると時間の進み方は、結構人間の感覚と似ているのかもしれない。

だがしかし気になるのは、実際のところ、人間を越えて一番長く生きたカメは誰なのかだ。
ここからは、調べた結果だけを簡単にピックアップして記録してみる。

◯インドのアリポーア動物園のアルダブラゾウガメのアドワイチャ 255年
 (情報不確実)
◯海洋探検家ジェームズ・クックからドンガの王女へ贈られた
 ホウシャガメのトゥイ・マリリア 193年
 (情報不確実)
◯ダーウィン採集のサンタクルスゾウガメのハリエット 175年
 (情報不確実)
◯ナイジェリア西部の宮殿内で飼われていたケヅメリクガメのアラグバ 344年
 (情報不確実)
◯フランス探検家のマリオンのアルダブラゾウガメ 推定200年
 (記録あり)
◯ギリシャリクガメのティモシー 149年
 (記録あり)
◯カロリナハコガメ 138年
 (記録あり)
◯ヨーロッパヌマガメ 120年
 (記録あり)
◯徳島県のウミガメ博物館カレッタのアカウミガメの浜太郎 74年
 (2024年時点 現役)
◯英国領セントヘレナ島のセーシェルセマルゾウガメのジョナサン 192年
 (2024年時点 現役) 

記録ありのカメたちについてだが、実際に深く詳細を調べたわけではないので参考程度として書いたものである。
その点ご了承願いたい。

記録ありの情報から抜粋すれば、一番長生きだったカメは「アルダブラゾウガメ推定200年」となるだろう。
しかしながら、現役の「セーシェルマセルゾウガメ192年」がそれに迫る勢いだ。
ぜひぜひ長生きしてもらいたい。
このまま行けば、私が生きているうちに記録が塗り替わる瞬間を目のあたりにできるかもしれない。
頑張れ!ジョナサン!健康第一!

ちなみに、セーシェルマセルゾウガメはアルダブラゾウガメの亜種である為、結局のところ長寿チャンピオンはアルダブラゾウガメに違いないだろう。

やはり私の中のあこがれのカメは、アルダブラゾウガメだ!

話題転換。
私は大きなカメが好きだ。だから次に飼ってみたいカメはリクガメやゾウガメだ。
だが同時に、それは絶対に飼えないカメだということも理解している。
むしろ飼ってはいけないと思っている。
これはあくまで私基準の話であるが、場所、時間、お金、寿命、どれをとっても確実に不足しているからだ。
もし今後私がゾウガメやリクガメを飼育できるタイミングが来るとするならば、広い庭付きの大豪邸を建て、のんびり世話ができる時間を確保でき、安定した収入と潤沢な資産を得られ、自分よりも若い使用人や飼育員を何人も雇い、自分の死後もしっかりとカメたちの面倒を見てもらえる……。

それくらいの環境が整えば、私は安心してカメたちを迎え入れられる。
そう、まさしくセントヘレナ島のジョナサンが過ごしている環境のように。
しかしそれくらいの環境が整わなければ、絶対に長寿命のゾウガメやリクガメは飼えないと思っている。
尊敬している、大好きなカメ故に。

もちろん実際にケヅメリクガメやアルダブラゾウガメを飼っている人がいるのは知っているし、飼育動画も興味深く見させてもらっている。
特にケヅメリクガメを飼っている人は結構いるようだ。
だから実際、飼えなくはないのである。
その様子を見るたびに、正直羨ましいなと思ってしまうが、自分の現実をしっかりと見ろと言い聞かせる。
未来はどうなるかわからない、だからこそ、今の私には飼えない。
何があってもカメは守り抜く。そんな覚悟を持てたらいいが、どうしようもならないことがこの世には沢山あることも、私はもう十分知っている。
今の私には、カメに限らず生き物を飼育する覚悟がない。
だから私はこうして、憧れるだけで満足することにする。

他の飼育の可能性を模索するのであれば、ゾウガメやリクガメ関連の事業を立ち上げることだろう。
もしくは逆に、それらの事業に加わることだ。
結局のところそれはそれで、やはりハードルは高いのだが。

どうか全人類の皆様におかれましては、あらゆる動物たちの一生の為にも、「衝動買い」で長寿の生き物を迎えることがないよう願っている。

思考角度を変えて。
長生きは幸せの証なのか?
飼育下で長生きする半水棲カメ。
野生下で長生きするリクガメ。
このような情報があったことを前述したのを覚えているだろうか。
この違いについて詳しく調べるのはまたいつかの機会にするつもりだが、単純にどちらのほうがカメにとって幸せなのだろうかと、ぼんやりと思う。

善良な人間に飼われていることを前提として考えて、天敵がおらず食に困らない安心安全の限られた世界の中で生きるのと、自然の猛威と空腹にさらされながら、のびのびと自分の意志で生きるのと。

寿命の長さは幸福度に関係するのか。
もしそうならば、前者は飼育されたほうが幸せで、後者は野生下にいるほうが幸せなのだろう。

けれども、私が飼育するクサガメが水槽をガタガタとならすたび、本当は自由になりたいのではと感じてしまう。
飼育している以上絶対に野や川に放したりはしないが、罪悪感からたまに庭の散歩はさせている。
私はその時のカメの表情や反応が大好きで、しばらく観察し、最近では写真や動画に残している。
こころなしか、散歩中のカメはとても楽しそうに見えるのだ。

それぞれのカメが何をストレスと感じているかでも違ってくるように思うのだが、もし寿命の長さと幸福度が関係しないのだとしたら……。
自由を制限されることに、ストレスを感じているのだとすれば……。
逆に外の世界を見せてしまったことで、水槽に戻されるたびに更にストレスを与えてしまっているのではないか?
飼育下で寿命が伸びた分、受けるストレスは多くなってしまうのではないか?
もしかして、常に苦痛を感じて生きているのではないか?

そんな人間ならではの想像が次々と生まれては、自分のしていることの残酷さに気づき次第に怖くなってくる。

しかしまぁ……現実、水槽の中でバスキングをしながら大あくびをしている姿を見たら、別に何も気にしていないようには見えるのだが。

実際のところは、正直分からない。

飼育下での行動制限のストレスと、野生下での死の恐怖へのストレス。
半水棲カメは一体、どちらの方が幸せと感じるのだろうか。
いや、どちらの方がマシだと考えるのだろうか?

リクガメの場合は、ある程度の大きさになれば天敵はいなくなるという。
考えられるストレスがあるとすれば、食料と天候のストレスだろう。
だが人間の知らないとこで野生のカメたちは、ストレスすら感じる間もなく命を落としている個体が何万といることだろう。
生き残ったリクガメの寿命が長いだけで、生き残れないリクガメは沢山いるのだ。
食物連鎖で考えれば何も杞憂する必要も、危惧する必要もないのだが、子どものリクガメ個人で考えた時、やはり少なからず、自由を制限されてでも生きていたいと思う個体がいるのではないだろうか?

と、こちらもいろいろ無駄に考えてみたが、結局のところ野生下が一番に違いない。
野生の本能を抑えることなく生きていくことが、本来のカメの一生なのだ。
もしかしたらストレス自体それほど感じないのかもしれないし、むしろストレスを感じることなく命を落とすことが出来るのであれば、それが最善であり自然の姿だと思うからだ。
やはりどんな動物も、生まれた場所で運命に従い、同じカメの異性と出会い子孫を残しながら生きていくことが、どんな形であれ一番幸せなのだと思う。
……多分、「幸せ」という定義自体、動物たちには必要ないものかもしれない。

もし人間もカメたちも幸せ、もとい最高の状態で暮らしたいのであれば、はやり行動制限がないくらい広い敷地で、そのカメが生まれ育った野生環境をできるだけ忠実に再現し、そこでカメを飼育し観察するのが一番平和的だ。

人間に重ねる。
生まれた時から、窓もない殺風景な部屋に閉じ込められてはいるが、毎日食事も運ばれくるし自分の命が狙われることがない安全な室内に一生いるのと、生まれた時からスラム街の中で過ごし、どこへでも好きな場所へ歩いていけるが、常に食料を探さねばならず、いつ何者かに殺されてもおかしくはない状況。
果たしてどちらが幸せか。

前者の場合、その部屋が世界の全てだと信じ切っていれば、何のストレスもないこれほど素晴らしい世界はないと思う。
しかし、人間の場合は成長するにつれ、恐らく疑問と、知的好奇心が生まれてくるだろう。
この食事は誰が作っているのか?
この材料はどこから来たのか?
この部屋以外の場所があるのではないだろうか?
この段階から、少しのストレスは発生するに違いない。
確かに長生きはできる。しかしこれは本当に幸せな世界なのだろうか?

そして仮に、この部屋に窓が一つでもあったのならば、窓の外の世界への興味が爆発し、行ってみたい、ここから抜け出したいと思うのが普通ではないだろうか。
こうなった時に、初めて行動制限のストレスを感じるのだと思う。
だがこの時点では、自分が死ぬかもしれないという恐怖はまだ生まれていない。
死の恐怖を知らない時点で、ある意味幸せとも呼べるだろう。

後者の場合、命の保証がない代わりにどんな人生だって自分自身で決められる。
スラム街が辛いと感じたら、どこまでも歩いて違う街にだって移動できる。
川に行けば魚、森に行けばリンゴ、治安のいい街にたどり着けたら他人がいて、何かに役立つ情報収集が出来る。
しかしこれらは全て運。
騙され、裏切られ、自分の力ではどうにも出来ない、理不尽なストレスは必ずどこかで発生する。
精神的にも肉体的にも、強いものだけが生き残る。
あらゆる苦難を乗り越えた時、経験による賢明さと直感力で、その人は寿命まで無敵になる。

私は前者と後者だったら、どっちが幸せだと思うだろうか?
世界を知らないままでの幸せ。世界を知った上での幸せ。
臆病者の私は、前者のほうが優勢だ。
しかしもう、外の楽しさを知ってしまったらから、きっと部屋の中へは戻れない。
けれど外の世界で生きていくには、成長しなければ死んでしまう。
今の私は、成長しなければという見えない恐怖に、ストレスを感じてしまっている。
いつか100歳を超えるゾウガメたちのように、無敵の人生を手に入れられるのだろうか。

飼育と野生というカメの状況を人間に重ねたため、かなり極端な人生を書いてしまったが、私達人間にとっての幸せは本当に人それぞれである。
だが人生は自然界と同じように、時折嵐が発生する。
最高の状態で現状維持なんていう安定した幸せは、必ずいつか嵐によって吹き飛ばされる。
そうなった時、なんとかまた最高の状態まで再建できるかどうかが、生きていくうえで重要になるだろう。
その鍵はお金か、人脈か、それとも愛か。
状況を変える力を持っているのは、動物にはない人間の特殊能力なのだと思う。

そもそもの話。
「幸せとは何か?」と、幸せの定義を考え始めたらきりがない。
「ストレスとは何か?」と、ストレスの定義を考え始めてもきりがない。
そこはもう、偉大なる哲学者たちの本を読み、自分なりに答えを見つけていくしかないだろう。
いつか「私にとっての幸せは何か」をブログにまとめてみようと思う。

終着。
憧れ、尊敬し、大好きなカメだからこそ、大自然の中で自由に生きていてほしい。
けれども大好きだからこそ、傍にいてほしいし見ていたい。
この葛藤はきっと一生続くだろう。

今回のこのブログで確かに分かったのは、世界で3番目に大きなリクガメは、ケヅメリクガメで間違いないということだ。
この「3番目に大きなカメ」という一文からはじまった大きいカメ探しは、想像以上に楽しい旅となった。

けれども、きっと。
この大自然のどこかには、これまでの記録を有に超える超巨大カメ、どの生き物よりも先輩な超長寿カメが生きているのではないか。そう考える。
砂漠の果て、ジャングルの奥地、深い水の底、暗い穴の中……。
これまで砂山だと思っていたのは実はカメで、これまで岩だと思っていたのは実はカメ。
海底だと思っていたのはカメの甲羅で、穴の中から吹いてくる風は実はカメの鼻息だった……なんて。

そんな神秘を図鑑を開く合間に考える。
そう、私は単に、想像することが好きなのだ。

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writing 2025/05/04

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